インド式計算
2桁×2桁を暗算する6つのテクニック。
やり方だけでなく「なぜそうなるか」まで。
📗 計算力・インド式計算の本
2桁の暗算を体系的に身につけたい方へ
✖️ 2桁×2桁を暗算する6つのテクニック
インド式計算は魔法ではありません。すべて中学レベルの式の展開で証明できます。手順だけ覚えると条件を外れた瞬間に使えなくなるので、ここでは「なぜそうなるか」も並べて載せています。理由がわかると、条件に合うかどうかを自分で判断できるようになります。
各テクニックの「例をもう1問」を押すと、その場で別の例題と手順が出ます。上のツールで実際に手を動かして練習できます。
① 11をかける ── 両隣をたして真ん中に入れる
使える場面:2桁の数に11をかけるとき。
手順:両端の数字はそのまま置き、真ん中に両隣の和を入れます。
たとえば 24×11 なら、2と4をそのまま置いて、間に 2+4=6 を入れて 264。
和が10以上のとき:くり上げます。87×11 は 8+7=15 なので、8に1を足して9、十の位は5、一の位は7で 957。
2桁の数を 10a+b と書くと、
(10a+b)×11 = (10a+b)×10 + (10a+b) = 100a + 10b + 10a + b = 100a + 10(a+b) + b
百の位が a、十の位が a+b、一の位が b。「両隣の和を真ん中に入れる」の正体はこれです。a+b が10以上ならその位からあふれるので、くり上がりが起きます。
② 十の位が同じ+一の位の和が10 ── インド式の代表格
使える場面:2数の十の位が同じで、一の位どうしをたすと10になるとき(23×27、41×49 など)。
手順:前半は「十の位×(十の位+1)」、後半は「一の位どうしの積」。
23×27 なら、前半 2×3=6、後半 3×7=21、つなげて 621。
注意:後半は必ず2桁で書きます。21×29 は 1×9=9 ですが、これを「09」として 609。ここを1桁で書いて「69」としてしまうのが最頻出のミスです。
2数を 10a+b、10a+c(ただし b+c=10)と書くと、
(10a+b)(10a+c) = 100a² + 10a(b+c) + bc = 100a² + 10a×10 + bc = 100a² + 100a + bc
= 100a(a+1) + bc
前半 a(a+1) が100の位から上、後半 bc が下2桁。bc が下2桁に入る以上、2桁で書かなければ桁がずれます。
③ 5で終わる数の2乗 ── 下2桁は必ず25
使える場面:15²、35²、85² のように5で終わる数を2乗するとき。
手順:下2桁は必ず25。その前に「十の位×(十の位+1)」を置きます。
35² なら 3×4=12 で 1225。65² なら 6×7=42 で 4225。
これは②の特別な場合です。b=c=5 とすると b+c=10 を満たし、
(10a+5)² = 100a(a+1) + 5×5 = 100a(a+1) + 25
後半が常に 5×5=25 に固定されるので、下2桁が必ず25になります。②を覚えていれば、これは別途暗記する必要がありません。
④ 100に近い数どうし ── 不足ぶんで計算する
使える場面:91×98 のように、両方とも100に近いとき。
手順:100までの不足を出します。98は2不足、97は3不足。
前半はたすき掛けで「98−3」=95(「97−2」でも同じ95)。
後半は不足どうしの積 2×3=6 を2桁にして06。つなげて 9506。
2数を 100−x、100−y と書くと、
(100−x)(100−y) = 10000 − 100x − 100y + xy = 100(100−x−y) + xy
前半の 100−x−y は「(100−x)−y」とも「(100−y)−x」とも書けます。どちらから引いても同じになるのは、式の上では x と y が対称に入っているからです。たすき掛けが成立する理由がこれです。
⑤ キリのよい数に寄せる ── ×5・×9・×25・×50・×99
使える場面:かける数が5、9、25、50、99 のようにキリのよい数の近くにあるとき。
- ×5=10倍して半分。 18×5=180÷2=90
- ×50=100倍して半分。 36×50=3600÷2=1800
- ×25=100倍して4で割る。 28×25=2800÷4=700
- ×9=10倍から1つ分ひく。 47×9=470−47=423
- ×99=100倍から1つ分ひく。 47×99=4700−47=4653
すべて分配法則そのものです。
n×5 = n×(10÷2) = (n×10)÷2 / n×25 = n×(100÷4) = (n×100)÷4
n×9 = n×(10−1) = 10n − n / n×99 = n×(100−1) = 100n − n
「かけにくい数を、かけやすい数の足し引きに置き換える」という発想が本体で、9や99に限らず使えます。たとえば ×98 なら 100n − 2n です。
⑥ 差が小さい2数 ── 真ん中の2乗から引く
使える場面:47×53 のように、2数の真ん中がキリのよい数になるとき。
手順:真ん中を見つけます。47と53の真ん中は50で、そこから±3。
真ん中の2乗 50²=2500 から、ずれの2乗 3²=9 を引いて 2491。
いわゆる「和と差の積」です。真ん中を n、ずれを d とすると、
(n−d)(n+d) = n² − nd + nd − d² = n² − d²
真ん中 n がキリのよい数だと n² が即座に出るので、この形に持ち込めるかどうかが勝負になります。2数の差が偶数のときだけ真ん中が整数になる点に注意してください(47と53の差は6で偶数)。
どれを使うか見抜く順番
実戦では「どのテクニックが使えるか」を数秒で判断する必要があります。次の順でチェックすると速いです。
- どちらかが 11 か? → ①
- どちらかが 5・9・25・50・99 のようなキリ数の近くか? → ⑤
- 両方 90台 か? → ④
- 十の位が同じで一の位の和が10か? → ②(同じ数の2乗で5で終わるなら③)
- 2数の差が小さくて偶数か? → ⑥
- どれにも当てはまらない → 素直に分けて計算する(例:23×48 = 23×50 − 23×2)
最後の行が大事です。条件に合わないのに無理やりパターンを当てはめようとすると、かえって遅くなります。使えないと判断することも技術のうちです。
使い方
まず1つのテクニックに絞って練習し、手が覚えてから「🎲 ミックス」で見抜く練習に進むのが効率的です。
制限時間なし。正解しても毎回途中式が出ます。手順を覚えている最中はこちらから始めてください。
手が慣れたらスピード計測。ベストスコアはテクニックごとに別々に保存されます。
画面の数字パッド、またはキーボードの数字キー。Enterで確定、Backspaceで1文字削除。
不正解のときは必ず途中式が出ます。どの段階でずれたのかを確認してから次に進んでください。
🎯 活用シーン
「298円の商品を7個」を 300×7−2×7=2086 と一瞬で。⑤のキリ数寄せがそのまま使えます。
計算スピードが点差になる試験で、選択肢の絞り込みが速くなります。概算の精度も上がります。
九九が定着していれば取り組めます。証明つきなので、中学で習う式の展開の予習にもなります。
「47㎡ × 単価53」のような計算が、⑥の平方の差で暗算できるようになります。
途中の数を頭に保持しながら次の操作をするため、単純な反復計算より負荷の高い脳トレになります。
「35の2乗は?」に即答できると盛り上がります。タネ明かしまでできるとさらに面白がられます。